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番組審議会とは

放送法に基づき、放送番組の適正を図るために外部有識者の声を聴く場として設置しています。
主な役割は、

・放送番組の適正を図るため必要な事項を審議する、
・放送局に対して意見を述べる

ことなどとなっており、番組審議会が取りまとめた「答申」や「意見」は放送局がこれを尊重して必要な措置を講じます。
また具体的な番組の視聴・聴取も行われ、放送局はその議論や意見交換を次の番組作りに役立てています。

審議委員名

委員長    磯 山 隆 幸(写真家)
坂 本   徹(北里大学 獣医学部 教職課程 教授)
八木橋 俊 夫(陸奥新報社 常務取締役 営業局長)
川 嶋 大 史(つがる市観光物産協会 会長)
平 間 恵 美(NPO法人はちのへ未来ネット 代表理事)
平 野 陽 児(東奥日報社 執行役員 デジタル局長)
上 村 鮎 子(十和田乗馬倶楽部 代表取締役)
粒 来 和 成(デーリー東北新聞社 編集局次長 編成本部長)

※川嶋委員・平間委員は意見書面提出での出席

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第657回番組審議会

青森放送では、11月1日に第657回番組審議会を開催し、

テレビ番組 「日本のチカラ」
      『 かさいのかっちゃ ~ 青森発!小さな町のなんでも屋 ~ 』 
            ( 7月1日(月) 10:25 1055 放送 )を審議しました。


 
【番組内容】

日本海と白神山地に囲まれた青森県・鰺ヶ沢町赤石地区にスーパーマーケット「スーパーかさい」があります。
64年間地元の人に愛され続けるこの店を切り盛りするのは、2代目店主の葛西姫子さん(67)。

朝早くから総菜を作り、730分に店が開くころには売り場をいっぱいにします。
独り暮らしの高齢者が多いことから、買い物に来られない人のために配達を行っているほか、
送迎も行う葛西さん。総菜作り、店番、配達...。いつも店の中、そして地区を走り回っています。
赤石地区で暮らす皆さんにとって「スーパーかさい」はなくてはならない大切な場所です。

この60年間で地区の人口は、3500人以上減りました。人口減少に加え、車で10分ほどの隣町には
大型スーパーが次々と出店。「スーパーかさい」のお客さんは年々減り、売り上げは落ちていく一方。
それでも、雨の日も吹雪の日もこの地区で暮らす人たちのために走り続ける葛西さん。

地区で暮らすみなさんが自分を頼ってくれること、
そして「ありがとう」と声をかけてくれることが、葛西さんの背中を押してくれます。
青森県の自然豊かな小さな町で、
今日も温かい地域のつながりを大切にしながらスーパーを営む、お母さんの物語です。

審議委員からの感想・意見

  • 番組冒頭、鰺ヶ沢町の厳しい冬の映像から、主人公・葛西姫子さんの「天気が悪いからこそ配達する」という明るい声で一気に引き込まれた。「かさいのかっちゃ」のタイトルが光っている。最初の地図表記や地理的説明も簡潔でわかりやすかった。葛西さんの一つ一つの言葉から、優しさとお客さんへの思いやりが伝わってきた。商品とは別に元気と優しさも一緒に配達していることがわかる。お店に来られない人のために、特売のチラシの文言を一生懸命考える葛西さんの姿には、仕事への情熱と商売人の根性も見ることができた。地域の人たちの暮らしぶりを熟知しているからこそのチラシの宣伝文句は本当に気持ちが届いている証だと思った。このスーパーは絶対に失くしてはならないと思った。番組で取り上げたひとコマひとコマがどれも大切で意味があり、一つにまとまっていたと思う。地域の人々の暮らしを丁寧に追っていて、勇気をもらえた番組だった。
  • 過疎化が進む地方の実態を描き出す、現在の日本のリアルな現実。こうした中、売り上げが落ちても尚、地域のためにスーパーを維持できているのはすばらしい。いかに地域に愛され、必要とされているかを感じる。また、過去の映像を使い、丹念に取材を重ね、深みのある番組に仕立てあげた。RABが持つアーカイブの力を感じる。「生きていくためにやるしかない」という葛西さんの言葉は重いが、その「明るさ」に救われる。本当に苦労した人は支えてくれている人への感謝を忘れない。お客さんからも心の底からの感謝の念が伝わってくる。「ただ買物するだけでない。おしゃべりが心のより所になる」というのは本当だろう。日記をつけて、メモを取る。究極のアナログだが、商売は本来、それが原点だろうと思う。コロナ禍以前だったら、そんなに深刻に感じなかったことでも、今、この時代に生きて大切なものを再発見させてくれた番組だった。
  • 葛西さんが奮闘する姿に元気をもらった。非常に良い番組だった。人口が減少し高齢者が目立つ赤石地区で、住民の期待を背負い、早朝から総菜を作り、買い物ができないお年寄りには配達をするなど、驚くほどエネルギッシュで献身的な姿に頭が下がる。冒頭でアンコウを捌くシーンが印象的。お客さん本位で心意気が良い葛西さんの力強い言葉は、「スーパーかさい」で命をつないでいるお客さんを思って発せられたのだろう。地域のつながりを大切に思う葛西さんの胸の内を表していた言葉で、愛おしさが込み上げてきた。番組に登場した一人暮らしの女性客は3人とも個性的でほのぼのとした場面に心が安らいだ。葛西さんとお年寄りの関係性・ふれあいが番組の生命線になっていたと思う。印象的な場面を逃さず押さえており、葛西さんを応援したくなる中身のある番組だった。何度も現地に足を運んでインパクトのある作品に仕上げている。ふるさとの温かさ・地域の力を紹介する「日本のチカラ」のテーマに合致した傑作だと思う。今後もメッセージ性のある番組作りを期待している。
  • 冒頭で吹雪の場面から始まり、春の穏やかな里山風景で落ち着かせるあたりが、なかなかうまいなと感じた。何よりも元気をもらえる作品。アンコウを捌く場面はやはり迫力があった。カメラマンも非常に良い瞬間をとらえている。「お客さんを大切にする心」が葛西さんの原動力になっている部分が見えてきた場面だった。手を入れ過ぎない・変にいじっていない自然な流れで進行していくが、ちゃんと伝わる作りになっており、制作者の着実な成長を感じる。伝えたいことを「押し付ける」ことなく伝えていく力はさすが。葛西さんの人柄を非常によく引き出している。ディレクターと葛西さんの心のつながりができたからこそ引き出せたのだろう。番組の中にしっかりディレクターの存在感があった。旦那さんの登場が少しだけだったので気になった。三者三様のお年寄りの登場は「スーパーかさい」や「かさいのかっちゃ」の役割・大事さを伝えてくれた。日本が抱える深刻な問題に警鐘を鳴らしてくれた作品。
  • 葛西さんを軸に地方の「今」だったり、人間模様を描いた番組だと受け止めた。登場人物の表情がイキイキとして魅力的。丁寧に取材したからこそだと思った。冒頭、北国風土の厳しさ・美しさを対比させることによって、地方の置かれた厳しい現状・そこに生きる人々の豊かな表情を比喩的に表現しているのではないかと解釈した。そのあとに紡がれていく物語のプロローグとして、とても印象的だった。葛西さんが語る「店を守る」という言葉には「地域を守る」という響きも感じた。心の通った交流ができるのは、葛西さんならではなのだろうなと感じた。頭を悩ませながら作るスーパーのチラシは地域の人たちにしっかりと伝わっている。チラシを見ながら電話で注文するお年寄りの表情に喜びがにじんでいて深いつながりを感じた。苦労はあっても、葛西さんは地域の人たちにとって欠かせない大きな存在だと思う。これからもぜひ頑張ってもらいたい。懸命に生きる人々の姿を温かい雰囲気の中で描いているので、逆に現状への手当の必要性を認識させる上で効果的だったのではないか。
  • 考えを押し付けるのではなく、見ている側が感じている答えを引き出していくような番組。とても優しい気持ちになった。小さなスーパーの単なる物語ではなくて、「スーパーかさい」を軸に地域社会の絆・葛西さんの人柄・地方が直面する課題を如実に感じさせてくれた。昭和の時代から地域に密着し、地元の人々にも愛され続けていることが、古い資料映像からもうかがえた。地域の人たちの生活を支えている葛西さんの姿は、単なる商売ではなく地域全体を見守るような温かさに満ちていて、本当に心に響いた。店の経営が年々厳しくなっているのも番組から伝わった。そんな中でも葛西さんは地域の人の感謝の声を受けるたびに地域のために走り続けている。マイナスの環境の中で、プラスの活動をしているのが非常に印象だった。彼女が地域の人々を思いやり支え合っている姿から、忘れがちな「人とのつながりの大切さ」を強く感じ、改めて、大切だと思わされた。葛西さんがスクールバスの子どもたちに声をかける場面には明るい未来を感じた。葛西さんには元気でお店を続けてほしい。
  • 「スーパーかさい」は今までメディアにあまり取り上げられてこなかったように思う。この題材を見つけて取材しようと思ったことがすごい。ネットショッピングやセルフレジなど、ものを売ったり買ったりする際に人を介さない形に変化し、買い物がドライな行為になっている。「スーパーかさい」には買い物の本来の姿があり、IT化によって失われたものが残されている。「商いの神髄」を見ている気がした。随所に印象的な映像が織り込まれており、それが所々でスパイスとして効き、番組を高めている。第一に「お客さんの喜ぶ顔が見たい」という葛西さんに「商いの神髄」を見た気がする。葛西さんの行動を通じて、地方の良い所も厳しい所も全部があぶり出されている気がした。詰め込み過ぎず見やすい番組で、一つ一つの場面に説得力がある。視聴していて疲れなかった。旦那さんと一緒の場面、夫婦が支え合う姿ももう少し見たかった。暗い雰囲気になりかねないテーマだが、葛西さんとお客さんたちの明るい交わりを見ていると救われる気分になって、見終わると温かい気持ちになった。
  • 取材が細やかで、繊細な部分にも目配りができている。カメラの圧力を感じさせない、寄り添うような目線で撮影している。番組の核となる葛西姫子さんの等身大の言葉を数多く引き出している。葛西さんの面倒見の良さから「かさいのかっちゃ」がきちんと浮かび上がっている。地元の人たちに寄り添う姿・お客さんとの密な付き合いなど、涙腺が緩む場面もあった。登場する人たちをカメラが非常にうまく捉えていたと思う。ディレクターも登場する人々を優しく捉えて良い仕事をしている。赤石川流域の風土感を出せるようになれば、さらにすばらしい番組になるだろう。地域の風土(におい・かまり)や色合い・風情などにも気を配って、青森県でしかできない番組に掘り下げてほしい。ストレートで気持ちのいい番組だった。これだけの番組を制作できるのはすごい。成長が楽しみであり制作者としてさらに上を目指して伸びていってほしい。