「行きたいけれど行けない」!?大学生の調査で投票機会を失っている実態が…「親」の影響も?「この一票でなにかが変われば良いなと」【2025参議院選挙・青森】
参議院選挙の投票まであと9日です。
前回3年前の選挙で県内の投票率は49.49%と全国平均より2.5ポイント以上低く、5割を下回りました。
年代別で見ると、50歳以上が比較的高い一方で、最も低いのが10歳代・20歳代で、県内は30%に留まりました。
若者はなぜ選挙への関心が低いのか、背景には何があるのか、考えます。
★青森放送 菅原厚キャスター
「すでに投票権を持つ大学生たちは政治や選挙についてどう考えているのかその本音に迫ります」
参議院選挙に向け、青森大学社会学部の櫛引研究室は大学生を対象にした意識調査を行いました。
学生が自らアンケートし、523人から回答を得ました。
プロジェクトの中心メンバーは…
★青森大学3年 加藤未宙さん
「政治とか選挙にはどういうイメージがありますか?」
「若いからこそかもしれないのですが、お堅いというか若い人に対して考えている政策というのは少ないんじゃないかな」
アンケートの結果、今回「投票に行く」と答えた人の割合は52%と半数を超えました。
一方、「行きたいけれど行けない」人が23%いました。
行けない理由を行くと、4割が「忙しい」からで最も多かったのは「住民票を移していない」で半数以上を占めました。
そして住民票を移さない理由の4割が「成人式」でした。
これはどういうことなのか…。
地元の成人式に出るためには、離れた場所の大学に進学したあとも住民票を移してはいけないと誤解している学生も多く、不在者投票も浸透していないため、投票機会を失っている実態が浮かびあがりました。
★青森大学 社会学部 櫛引素夫教授
「成人式が原因となって、投票率がそれなりに下がっているというエビデンスが出てきたのは初めてですよね」
「こういうところからちゃんと詰めていかないと、ただ若者に選挙に行けというだけでは多分足りないよね」
一方、投票に行くと答えた学生は・・・
★大学生は
「一般市民のことを考えてくれる人に投票したいと思っています」
「どう転ぶか結果はわからないですが、よりよい未来になるように」
調査では「親」の影響もキーワードとして浮かびました。
親や周りの大人が投票に行くのを「よく見かけた」か「見かけなかったか」で学生を分けると、「よく見かけた」という学生は6割が「投票に行く」と答え、高くなっていることがわかりました。
★大学生は
「小さいときから親と一緒に投票所に行ったりしていたので行くものなんだろうなと思っています」
★青森大学 社会学部 櫛引素夫 教授
「周囲の大人が選挙にちゃんと行こうと、自分たちのことは自分たちで決めようと口にして、かつ振る舞っていたら、こどもはそれを真似してそれが当たり前になる」
選挙や政策の情報源については最も多かったのが「テレビ」で、僅差で「SNS」が続きました。
★青森大学 社会学部 櫛引素夫教授
「いまの若者の間ではテレビの存在感がどんどん希薄になっている」
「ところが選挙の情報になると、これだけの存在感がある頼りにされている」
若者たちが投票しやすいように県選挙管理委員会では、2015年から大学にも期日前投票所を設置。
今回は県内14の大学や高校に設置しています。
投票した学生は…
★大学生は
「これからよい日本にするには、選挙に行くしかないんじゃないかという考えが自分の中でも芽生えた」
「私は物価高を重視して投票しました」
「この一票でなにかが変われば良いなと」
2016年から始まった18歳選挙権をひとつのきっかけに、県内でも主権者教育が進みました。
ただ学校によってバラツキがあるのが実情です。
★大学生は
「(高校時代は)模擬投票もなかったですし、仕組みみたいなものもさらっと勉強しただけですので、詳しい内容までは全然勉強しなかった」
専門家は若者の選挙や政治への関心を高めるためには「地域」と「教育」が重要だと強調しています。
★成蹊大学 伊藤昌亮 教授
「自分の地域が本当に20年後30年後どうなっているんだということを問いかけ合うことを、普段からやっていくと投票に結びつくと思います」
「地域や教育を含めて、全体的に取り組んでいかなくてはいけないことだと思います」
★青森大学 社会学部 櫛引素夫教授
「自分たちのことを自分たちで可能な限り決めるんだと決めることは、当たり前であり義務でもあるんだということを確認し直すという意味で、選挙の投票というのはかけがえのないそれを確認する機会になる」
選挙を暮らしに直結する自分事として捉え、行動に起こすことが未来を切り拓く鍵になりそうです。
20日の投票日は3連休の中日ですので、当日投票に行けないという人は期日前投票で貴重な1票を投じましょう。