メダリストも輩出した柔道場が2年ぶりに復活!81歳の道場主の背中を押したのは「かつての教え子たち」 青森県大間町
オリンピックのメダリストも通っていた大間町の柔道場「誠心館道場」。
2年前に閉館しましたが、今月新しい場所で復活し、柔道に励む子どもたちの声が響いています。
「大間誠心館道場」で練習前に行っていた「道場十訓」で、子どもたちが柔道の練習を始めました。
2年前に閉館した道場の復活です。
★大間誠心館道場 道場主 大内二郎さん
「腕をちゃんと開いて」
1985年に大内二郎さんが作った大間誠心館道場は、道場の老朽化と自身の体力の限界を理由に、おととし38年の歴史にいったん幕を閉じました。
しかし1人の門下生から高校で柔道を続けたいので、進学前に指導して欲しいという相談を受けました。
『1人だけであれば』と思ったところ…
★大間柔道クラブ 大内二郎さん
「(1人への指導を)やると後輩たちに、道場のOBに話したら『自分の子どももやらせたい』と言うので…」
OBからの要望を受け、道場を再開することにしたのです。
最初は大間警察署の協力で署内の柔道場を一時的に借りていましたが、教育委員会と相談し、昨年度で閉園した幼稚園を使えることになりました。
この日は場所を移しての初めての練習日。
間借りなので『誠心館』ではなく『大間柔道クラブ』として活動します。
7人の子どもたちが真剣な表情で練習に取り組んでいました。
★大間柔道クラブの子ども
「楽しかった」
「みんなで一緒に乱取りやったところ」
「ここ(今の場所)もいいと思います」
(Q.目標はありますか?)
「柔道で1位をとることです」
★保護者
「今まで世話になったところがなくなるというのはさみしい感じはあったので、こういう場でまたできるようになったので良かったのかなとは思います」
再開はしましたが大内さんは81歳。
この道場の再開に協力してくれたのは、誠心館で大内さんから柔道を学んだOBたちでした。
指導者の飯田勝さんもその1人です。
★指導者 飯田勝さん
「復活をとげたというか大内先生が頑張りたいということで、それにちょっと協力させてもらっていまやっている感じです。高校に行って柔道やる子とかもけっこういて、なんだかんだ大間の柔道は強いなと思っているので、そのサポートをしてあげたいなという気持ちでいまやっています」
大間誠心館道場のOBの1人、アテネオリンピックの銀メダリストで、現在柔道エジプト代表のナショナルヘッドコーチを務める泉浩さんも、道場の復活を喜んでいました。
★道場のOB アテネ五輪銀メダリスト 泉浩さん
「(道場の復活は)率直にうれしいです。柔道を通して僕も夢を持ちましたし、そういった子どもたちがどんどん増えてくれればうれしいなと 柔道が好きな子どもたちが集まれる場所であってもらいたいなと思いますし、OBたちが集まれるような場所になってくれればうれしいなと思います」
恩師に対しては…。
★道場のOB アテネ五輪銀メダリスト 泉浩さん
「(大内さんへ)本当に体には気をつけて」
「人間形成として柔道を選択する子どもを大内先生にしっかりと見てもらって、やっていただきたいなと強く思います」
OBたちからの信頼も厚い大内さん。
再出発に思うことは…
★大内二郎さん
「道場のOBが協力してくれるので、押されるような形でなんとか頑張っています」
「(柔道を通して子どもたちに)相手の気持ちをちゃんと理解して相手の痛みも分かる、思いやりのある気持ちになってくれればいいなと思います」
大間町に再びともった柔道の灯。
強さだけでなく相手を思いやる心も育んでいきます。