「ここの漬物のファンだ」“漬物”法改正から1年…産直施設は今 受け継いだ伝統の味と未来につなぐ漬物文化 青森県中泊町
法改正により去年6月から産直施設や道の駅での漬物の販売は保健所の営業許可が必要になりました。
あれから1年、中泊町の産直施設を取材しました。
中泊町の「ピュア」です。
★青森放送 伊東幸子アナウンサー
「食品衛生法の改正を受けて、多くの産直施設で地元の農家手作りの漬物が減ってしまった中、こちらピュアでは、にしん漬けに、それからやはり西北五地域ですね、すしこ、さらにはセロリやチンゲン菜の漬物などと、現在も品ぞろえが豊富です」
去年6月の改正法の本格施行で食品の国際的な衛生管理基準、いわゆる「HACCP」に沿った設備が必要になったことで漬物の出荷をあきらめた生産者が少なくありませんでした。
ピュアでも当初は出荷者が4分の1以下に減ってしまうと危惧していましたが…
★ピュア 前田晴香店長
「やっぱり昨年度からはちょっとは減ってはいるんですけど、9割ぐらいはカバーできているかなという感じですね売り上げもそうですし量もそうですね」
ピュアでは地域の漬物作りを継承していこうと、去年の6月に「なかどまりラボ」を立ち上げました。
メンバーの4人は漬物の出荷をやめることにしたベテラン生産者を講師に招き、一から作り方を教えてもらいました。
そして受け継いだ、すしこやにしん漬けのほかにも、新たな商品を自分たちで開発し販売を行ってきたのです。
澤田千恵子さんもメンバーの1人です。
★なかどまりラボ 澤田千恵子さん
「二日に一回は作って、お店に並べて、土曜日も日曜日も作ってという感じで」
1年前、漬物作りは全くの初心者だった澤田さんですが、今はこのテキパキとした鮮やかな手際!
レシピは全て頭に入っていて、味加減の微妙な調節も出来るようになったそうです。
しかし、一番人気の「すしこ」はまだまだ難しいといいます。
★なかどまりラボ 澤田千恵子さん
「何回作っても(教えてくれた)大川秋子さんの味にはかなわないので、100点をつける日は来ないかなと思いますこれが(今の)精一杯の味です」
教わった味をそのままに再現する道のりは長そうですが、澤田さんは前を向きます。
★なかどまりラボ 澤田千恵子さん
「お客さんのためにも毎日、これからも頑張って作りたいなと思います」
この日ピュアに野菜を出荷しにやってきたのは、1年前までここに漬物を出荷していたなかどまりラボの先生・三上ゆり子さんです。
今はほぼ毎日、朝どれの野菜の出荷に来ています。
★去年まで漬物出荷 三上ゆり子さん
「これからもっと天気よくなれば、もっとなると思う」
漬物の出荷はもう出来ませんが、夫の一美さんと野菜を作ってピュアに並ぶ漬物を支えているのです。
★三上一美さん
「うちのお母さん(漬物)上手だから」
澤田さんたちが漬物の味を受け継いでくれたことにゆり子さんは…。
★三上ゆり子さん
「うれしいです 若いのにすごくやる気があっていいと思いますよ がんばってほしいです」
法改正後もピュアでは、ほぼこれまで通り漬物が買えることにお客さんは…
★常連客
「私はここの漬物のファンだ スーパーにもいっぱい漬物は売っているんだけども、なんかこうちょっと(自分の味覚とは)ずれる気がして」
★金木からの常連客
「これ(すしこ)が大好きなの、ここに来ないとこんなにおいしいの食べられないの、いつもここから買っていくの、こういう店があるから助かるよ」
★ピュア 前田晴香店長
「(この一年)無我夢中でやってきたという感じですね、(かつて出荷していた)生産者さんの味にはまだまだ追いついていないというところはありますが、(お客さんが)何回も何回も買いに来ていただいているところを見れば、やってよかったかなと思います」
地域の漬物の減少に悩む県内の産直施設。
ピュアの取り組みは、漬物文化を未来につなぐための希望となりそうです。