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「私も正直、ものをいわないでしまった」いわき信用組合の金成新理事長…自浄作用働かせられるか 福島(福島県)



組織ぐるみで巨額の不正が明らかになったいわき信用組合は13日、再生に向けて新たな経営陣を発表しました。旧経営陣の主導による不正で、第三者委員会から、コンプライアンス意識の著しい欠如があったと厳しく批判された組合。膿を出し切ることはできるのでしょうか。

■いわき信用組合を3年前に退職したAさん
「やっぱりいずれは関わってしまうのではないかという不安ですね」

私たちの取材にこう話したのは、いわき信用組合を3年前に退職したという男性です。

■いわき信用組合を3年前に退職したAさん
記者「なぜ辞めた?」「当時のいた上司からB資金というワードと、迂回融資を使っているという話を聞いて辞めようと思って辞めました」

組合が不正なことをしていると感じたのが辞めるきっかけでした。

■いわき信用組合を3年前に退職したAさん
「第三者委員会の発表でもなんかあんまり協力できてなかったみたいな話があったので、やっぱそこら辺でまた不安を募らせてるような気がするので、なんとかそこを払拭しないと信頼回復まではいかないんじゃないかなというふうには個人的には思ってます」

信頼回復の道はあるのでしょうか。247億円以上にものぼる前代未聞の巨額な不正融資が明らかになった「いわき信用組合」。調査を行った第三者委員会からは、コンプライアンス意識の著しい欠如があり、日本の金融機関の歴史のなかで類例をみない悪質な事案とまで言われたほどです。一連の不祥事の責任を取り組合は、理事長を含む7人の役員の辞任を表明していますが…。第三者委員会にこうも指摘されたいわき信用組合。どう、膿を出し切り再生の道を歩むのでしょうか。第三者委員会がまとめた報告書には、こう、提言されています。

■「提言」
「外部から金融業務についての専門的知見を有する人材を常勤者として招き入れて、業務運営の適正化を図ることも有効」

こうしたなか…。

■溝井貴美記者
「こちらの建物のなかでは現在総代会が行われています。新たな経営陣の人事について話し合いがされているものとみられています」

いわき市内で開かれたのは、組合員から選ばれた代表者からなる、最高意思決定の機関=「総代会」。民間企業でいう、「株主総会」のイメージです。そこで、理事長に選ばれたのが…組合で総務部や経理部の管理職を経験した金成茂さんです。いわゆる「生え抜き人事」。この人事に疑問の声もあるようです。

■記者
「今回の不祥事を受けまして生え抜きの方が理事長になられるということにはいくつか批判の声もあろうかと思いますが…」

■いわき信用組合 金成茂 新理事長
「上意下達文化というものが根付いていって私も正直、ものをいわないでしまったということが続いておったというのが事実」「企業風土を改善しなくてはならないというのが大きくあった。もの申せない組織体制があった、ですから生え抜きのものがなることによって風通しのよい組織が作れるんではないかと思っている」

そのうえで、常勤・非常勤含め12人いる役員のうち外部組織から1人の常務理事を選んでいるほか、弁護士らによる経営監視体制も作っていくと、組合の再生の案を示しました。新たな経営陣のもと組織の再生と信頼回復はできるのか…。組合は、今月30日までに期限の業務改善計画書を金融庁に提出する考えです。

新しい理事長=組合のトップに、内部からの「生え抜き」が選ばれましたが、組合員らの受け止めは…。組合員からは?咤激励の声があった一方、生え抜き人事に疑問の声も聞かれました。

■いわき信用組合の総代
「生え抜きっていうことは、こうなる前のトップの下にいた人なんじゃないかと思う」記者Q:説明聞いて納得した部分は?「全然。納得していない」「出すべき情報は出さないと理解できないですよ」

今回の人事について、金成理事長は「企業風土の改善が必要」で、生え抜きだと「風通しの良い組織がつくれる」とその意図を説明しました。常勤・非常勤含め12人いる役員のうち外部組織から1人の常務理事を選んでいるほか、弁護士らによる経営監視体制も作っていくと、組合の再生の案を示しました。一方で、一連の不祥事については第三者委員会からも、全容はつかめていないと指摘されています。内部調査も同時並行で進められていますが、それについては「いまは示せる状況にない」としています。組織の再生はもちろん、全国から厳しい目を向けられているこれだけの不祥事ですから、自浄作用を働かせることができるのか、注目です。


(06/13 18:31 福島中央テレビ)

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