■【妖艶】「隠していた自分を表現出来る」もう1人の自分を生み出す“お面作家” 顔を隠すことに込めた思いとは… 青森県黒石市(青森県)
特集は黒石市で開かれている一風変わった展示会です。
伝統とモダンが融合した手作りのお面は、オーダーした人のもうひとつの顔になっています。
★青森放送 濱野壱清アナウンサー
「こちらの津軽伝承工芸館では、一風変わった個展が開かれています。おじゃまします…見てください、たくさんのお面がこちらをのぞいています」
繊細さと妖艶さを感じさせるお面の数々…。
骨組みに和紙を貼る伝統的な張り子の製法でつくられたお面は、和モダンなデザインで若者の心を掴みます。
このお面を生み出しているのは青森市のお面作家・天丞丸(てんすけまる)さん。
自身初の個展です。
お面をかぶったままでなら、と取材に応じていただきました。
★青森放送 濱野壱清 アナウンサー
「気になったのが唇の表現ですとか、目元の表現がいわゆる絵付けというよりは、女性のメイクを思わせるなと」
★お面作家 天丞丸さん
「女性のメイク技術ってすごいので、そこを参考にしてたりとか実際に化粧品を使って作っているので、アイシャドウとリップは市販で売っている物を使ってたりします」
天丞丸さんのお面は土台に和紙を貼り付け、石膏粘土を塗り乾燥させ、絵付けをする張り子の製法で作ります。
★お面作家 天丞丸さん
「張り子っていう技法をなぜ使うかというと質感というか、肌感、触ったときの髪の感じとか温かさとか、こっちも思いを込めて作ることができる」
ひとつの作品を完成させるには1週間ほどかかります。
★お面作家 天丞丸さん
「これ正直一番作るのが大変で、細かい模様だったりとかグラデーションがすごく難しくて、スポンジでずっとポンポンしてうまくいかなかったら削って、もう一回ポンポンして削ってみたいな…3回ぐらいやり直したお面ですね」
ふだんは自身が運営するネットショップで販売していますが、近年オーダーメードの依頼が増えてきていると言います。
★お面作家 天丞丸さん
「オーダーでYouTuberの方とかVTuberの方とか顔を出したくないけど、みんなの前でイベントをしたいという方のためにお顔を作ったりというのもありますね」
天丞丸さんは高校卒業と同時に関東で働き始めましたが、環境になじめず青森に戻ってきました。
★お面作家 天丞丸さん
「からだも崩して精神的にもきちゃって、全部やめて何にも無い状態で帰ってきて…」
そんな天丞丸さんの支えになったのが、お面でした。
★お面作家 天丞丸さん
「趣味でやってたお面(作り)が支えになっていて、じゃあそれを本気でやってみようと思ってホームページもお金を払って立ち上げて、オーダーも受けるようになって、精力的にイベントにも参加するようになったら、いつの間にか見ていただける方がいて」
今回お面をつけたままで取材を受けたことについて聞くと…
★青森放送 濱野壱清アナウンサー
「ご自身でもお面があると無いとでは人との関わり方で違いはありますか?」
★お面作家 天丞丸さん
「すごく変わりますね。本当に全く人に顔を見られたくないというか、お面外したらこんなこと出来ないです。人前に立つことも絶対しないですし、正直『社会に出るのもいや』ぐらいなんで、やっぱりお面かぶっているからこそこうして個展というか人目についても大丈夫って思える」
こうして開催した初めての個展。
訪れた人の反応は…。
★来場者
「非常にきれいでちょっと怪しくて模様も見事で大変すてきですね」
「特にこういう日本のお花を描いていたりとか、これなんかは家紋だったりとかするのだと思うのですが、そういう日本の文化とか季節を反映した物がちゃんと工芸品として作られているのが素晴らしいなと思いました」
天丞丸さんの作る誰かの分身とも言うべきお面は、見る人の心をひきつけます。
★お面作家 天丞丸さん
「自分も、もう1人の自分としてお面に助けられている部分もあるので、隠していた自分を表現出来る一つの方法としてこういうのもあるよというのを知ってもらえたら楽になる人もいるのかなと思っています。自分のきれいを突き詰めた結果、誰かの心に刺さる物ができたらなという思いはいまもあります」
伝統とモダンが融合した天丞丸さんのお面は、顔を隠して自分を表現しようとする人の背中も後押ししているのです。
(04/30 20:21 青森放送)
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