■「もうだめじゃろな」過疎・高齢化が進む地区の買い物困難者 移動販売がなくなった球磨村の状況は(熊本県)
農林水産省が推計した食料品アクセス困難人口。自宅から店舗まで500メートル以上、かつ自動車の利用が難しい65歳以上の高齢者を推計したものです。2020年現在の推計ですが、熊本県内全体では28.9%と全国平均よりも3ポイント上回っています。
市町村別でみると12市町村が30%以上。つまり3人に1人以上が買い物が困難なお年寄りです。特に五木村は40%、水上村は39.2%、苓北町が39.4%など、県南や天草地域を中心に買い物環境が悪化しています。
この「買い物困難者」をめぐり、県南の球磨村で24日、動きがありました。球磨村は25.4%と突出して高いわけではありませんが、生活の支えとなっていた移動販売が行われなくなった地区がありました。
24日開かれた球磨村議会の全員協議会。話題に上がったのは「くまむら山村活性化協会」という一般社団法人です。この協会は2019年に村が設立し、村の委託を受けて地域の活性化などに取り組んでいました。また、独自の取り組みとして過疎・高齢化が進む地区で移動販売などを行っていました。
しかし、運営方針を巡る考え方の違いから、村は昨年度末で業務委託を解除。協会は運営の財源が絶たれ、存続できなくなるとして、3月末で解散手続きに入りました。
出席した議員からはこんな声が。
■永椎樹一郎議員
「くまむら山村活性化協会の事業だったが、球磨村にとっては有益な事業だったかもしれない。くまむら山村活性化協会がしないとなったときに、球磨村にとって有益な事業というのはしない、手を出さないということですか」
状況はどうなのか。球磨村の沢見地区を訪れました。
■永島由菜キャスター
「一般社団法人の解散によって、村の過疎化が進む地区の移動販売がなくなるなど、住民の生活に影響が出ています」
協会では、これまで村内の8つの地区で移動販売を実施していて、あわせて30人以上が利用していましたが、3月28日で終了。このうち沢見地区など5つの地区では、別の事業者による移動販売もなく、“空白地区”となっています。
球磨村にスーパーはなく、隣の人吉市に行く必要があります。またコンビニも村内に1つしかなく、沢見地区からは車で40分ぐらいかかります。
■高齢の男性
「自分は息子がいて人吉市まで行けるからいいけど、いない人は困りますよね」
■高齢の女性
「もうだめじゃろな。町(人吉市)に買いに行かないと(店が)ない。店が1軒あればいいけど、1軒もないから買いにいけない」
こうした状況について球磨村の松谷浩一村長は。
■球磨村 松谷浩一村長
「村民の方には申し訳ないと思っています。本当に困っておられる方がおられると思いますので、今、迅速に対応できるように進めているところではあります」
村は、移動販売が実施されていない5つの地区について、別の事業者が実施できないか調整を行っているということです。
(04/24 19:26 熊本県民テレビ)
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