■「声楽と出会い日常が変わった」自閉症の男性に密着 指導者は「プロよりも上手い」(熊本県)
「歌」という楽しみと出会い、日常が変わったという自閉症の男性の日々を取材しました。
Q散歩する時はどういう事を考えているんですか?
■浦ア晃浩さん
「歌のことですかね」
天草市で暮らす浦ア晃浩さん(49)。32歳のとき、自閉症と診断さ れました。両親と一緒に暮らす晃浩さん。自分の性格のことを聞かれると…。
■浦ア晃浩さん
「モジモジして優柔不断で、我慢できなくなってキレるか、すぐキレるか、どっちか」
■母・辰子さん
「人とのコミュニケーションが苦手なので、自分からはここまでこうでとは言えないわけですよ。それが一番やっぱり…」
幼い頃から落ち着きがなく、気持ちが不安定になることもあった晃浩さん。一方、真面目な性格で記憶力もよく、高校を卒業後は福岡の大学に進学し、一人暮らしを始めました。しかし、大学生活に馴染めず中退。天草に戻り、両親が営む食堂の手伝いを始めました。
さらに、5年前からは週に5回、就労支援センターで働いています。この日は、植木のプランターづくりです。
■浦ア晃浩さん
「楽しいです」
■就労支援センターの指導員 岡田好春さん
「自分を出すのがなかなか難しいのかなという印象ですね。話したいけど、話に入れないというのが時々見受けられるかな」
ひとりでいることも多い晃浩さんですが、休日の過ごし方は…。本格的な声楽です。大学時代は合唱サークルに所属し、歌に馴染みがあった晃浩さん。32才の時、親戚の紹介で教室に通い始めました。今ではドイツ語の歌24曲を譜面を見ずに歌うことができます。この日は発表会に向けてイタリア楽曲の練習です。
指導を続けてきた江ア御々譜さんに晃浩さんの歌声について聞くと。
■江ア御々譜さん
「声量もあるし、声の質が豊かで、(プロの)バス歌手よりも上手に歌いますよ」
Qプロよりも?
「プロよりも」
声楽に出会ったことで、晃浩さんに変化があったと両親は話します。
■父・一則さんと母・辰子さん
「全然違う。それは全然変わった。声楽に行き出して、あっち行けば晴々として帰ってくる」
自信を持てるようになり、自分の思いを少しずつ伝えられるようになった晃浩さん。両親に対して、思っていることがありました。
■晃浩さん
「いつか恩返ししたい」
Qどういったことで恩返ししたいんですか?
■晃浩さん
「歌で」
歌う姿を見せることで両親に恩返しをしたい。5月、晃浩さんが通う声楽教室の発表会が開かれました。
■観客
「素晴らしかったです。彼の歌を聴いたことがあって、(また)聴きたくてお邪魔したんです。みんなを感動させるような歌ですね」
■父・一則さんと母・辰子さん
「(晃浩の気持ちが)伝わりました。聴いていて、今日は今までで一番良かったかなぁて思って聴いていました。自分の一番好きなものを見つけて、周りも見つけてあげて、そしてさせてあげたらいいなぁと思いますね」
■晃浩さん
「歌を通して、自分の思いを伝えたいですね」
(06/17 20:50 熊本県民テレビ)
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