■「期待したいがまた同じかな」浅尾環境相が水俣病患者らと懇談 "マイク切り"反省から2日間の日程(熊本県)
5月1日で水俣病の公式確認から69年です。被害者と環境相との懇談の席でマイクが切られた去年の反省を踏まえ、今年は4月30日から2日間の日程で、浅尾慶一郎環境相が水俣市を訪れ、懇談を続けています。
30日、水俣市を訪れた浅尾慶一郎環境相。午後には胎児性の水俣病患者が共同生活を送るケアホーム「おるげ・のあ」を訪れ、胎児性患者の金子雄二さん(69)と面会しました。金子さんは水俣病患者の自立を求めて活動を続けていましたが、3年前からは24時間の介護を受けています。その費用は水俣病の補償の対象外です。
さらに、浅尾環境相は、公式確認の年に生まれた胎児性患者・坂本しのぶさん(68)とも面会しました。坂本しのぶさんは6年前に母親を亡くした後は施設で暮らしています。しかし、施設の人手が足りず、昼と夜は別の施設で過ごすなど苦労を強いられています。
■坂本しのぶさん(68)
「(私のことを)弟が面倒を見ているが、これからのことが心配です」
■浅尾環境相
「人がいないという課題でありますけれども、木村熊本県知事ともしっかりと連携を取らせていただきながら、対応していきたい」
■面会後の坂本しのぶさん
「(浅尾環境相に)期待したいとは思うが、また同じかなと思っています」
その後、訪れた胎児性患者の作業所「きぼう・未来・水俣」では、代表を務める加藤タケ子さんが、胎児性患者が直面する介護費用の問題を解決するため、補償協定の見直しなどを求めました。
■浅尾環境相
「こちらとしてこういうことを考えていると伝えていくことも大事だと思うので、できる限り制度の中で見直しをして、希望と未来をつないでいけるようにお願いしたい」
水俣病は1956年5月1日に水俣市保健所に報告があり、この日を公式確認の日として水俣市が慰霊式を行っています。式には毎年、環境大臣や熊本県知事が出席し、水俣病を拡大させた加害責任を謝罪します。
ところが去年、式の後行われた被害者と大臣の懇談の場で、「発言時間が3分を過ぎた」として環境省の職員が被害者のマイクを切ったため、のちに大臣が謝罪して改めて懇談会をやり直す事態となりました。
■伊藤信太郎環境相(当時)
「公害の歴史と経緯を踏まえつつ、大変つらい状況にある方々にできる限り寄り添って対応出来るよう、省をあげて取り組んでいきたい」
当時の伊藤環境相は去年7月、3日間にわたって水俣市や鹿児島県の離島を訪問し、水俣病問題の解決へ向けて継続的な話し合いを続けると約束しました。
今回、就任後初めての水俣訪問となる浅尾環境相。午後4時過ぎから6つの患者・被害者団体でつくる水俣病被害者・支援者連絡会との懇談に臨んでいます。
(04/30 19:30 熊本県民テレビ)
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